本ページの目的
- プラントに限らず、計装エンジニアが使用する信号の種類を知ることができる。
- 設計時において、最適な信号種類を選択することができる。
多くの計装エンジニアは、仕事を始めてから計装の知識を学んでいきます。仕事の中で学んでいくと、OJTの名のもとに、実践知識しか勉強していく機会がないが多いです。そのため、基礎的な知識がおろそかになりやすいです。
計装で一番基礎となり、仕事の中で学びにくい超基礎”計装信号の種類”を解説します。
信号の種類
- 空気圧信号方式
- 電気信号方式
- 光信号方式
- 無線方式
1) 空気圧信号方式
1950年~1960年代にかけては、空気信号による計装システムがよく使用されていた。
空気圧信号方式とは、各計器の測定信号を空気圧(20kPaG ~ 100kPaG)に変換して、伝送する。
利点:現場に電気を使用せず、信号伝達が可能となる。そのため、本質的に防爆となる。又、構造が比較的単純なため、故障する可能性が低い。
欠点:空気圧縮性のため、信号伝送に遅れが生じる。伝送距離が100mに限られる。計装空気装置が必要なため、小さい設備(プラント以外)では適用にコストがかかる。
現在では、電気信号方式が主流となっているが、一部、現場操作機器には空気式が未だ使用されている。参考として、以下を示す。
©横河電機
2) 電気信号方式
電気信号方式とは、各種測定器から受信装置を電気信号(1-5V, 4-20mAなど)で伝達する方式である。大きなプラントでは、4-20mA信号で伝達すること一般的である。4-20mAは計測値0-100%に対する値である。0%出力に対するベース信号が4mAであるのは、ケーブル断線などの異常状態検知を容易にするためである。
利点:信号の遅れなく伝達できる。伝達距離も対応機器が非常に多い。
欠点:ノイズに弱い。現場に電気を供給するため、危険地域では防爆機器を使用する必要がある。
これらの0-100%に直接換算する信号をアナログ、0-1で伝達される信号をデジタルと表記することが多い。(これらは世間一般で認識される名称とは異なる。計装エンジニア以外に話す場合は注意が必要となる。)PLCなどのデジタル機器は、アナログ信号4-20mA/0-100%を200~1000デジットなどで表す。
インターネットなどで配線を使用する場合も、この電気信号方式に含まれる。
光信号方式
1960年代以降、信号処理の容易さ、広域対応などから4-20mAなどの電気信号方式が使用されてきた。しかし、空気圧力信号方式及び電気信号方式では、上記欠点で挙げられているような問題点があった。これらの課題に対する対策として、光信号方式による計装システムが開発された。
光信号方式とは、0-1で伝達される電気信号方式を光のON-OFFで代替したシステムである。
利点:伝達距離が非常に長い。ノイズに強い。伝送容量が大きい。
欠点:対応機器が少ない。伝達するための専用機器が高価。
この伝送距離の長さ・容量の多さにより、一般的なインターネット通信は、光通信が用いられることが多い。
まとめ
過去使用されていた空気圧方式から最近の光信号方式までを紹介しました。これらの詳細を以降のページで紹介していきます。併せて確認することで、計装信号を包括的に理解することができます。
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